賃貸経営をする大家さんにとって、消防設備点検は避けて通れません。
消防設備を適正に維持・管理し、消防法で定められた点検をおこなうことは
大家さんの義務であり、適正に実施されない場合は刑事責任を問われる可能性もあります。
ここでは、万一の災害に備えるための消防設備や消防設備点検の必要性などについて解説します。
賃貸物件で実施される消防設備点検の種類と内容とは?
火災に対する備えとして、マンションには火災報知器や消火器、
スプリンクラーなどの消防設備の設置が義務付けられています。
消防点検とは、これらの設備がいざというとき確実に作動するかを確かめるもので、
「機器点検」「総合点検」の2つがあり、決められた頻度での点検が必要です。
消防法において、義務付けられている点検について解説しましょう。
●機器点検:6か月に1回
機器の適正な配置・損傷などの有無、外観から判別できる事項や
簡易な操作により判別できる事項について確認します。
消火器具、誘導灯、火災報知設備、屋内消火栓設備、
屋外消火栓設備、避難器具、非常警報器具など。
●総合点検:1年に1回
消防用設備などを実際に作動させ、総合的な機能を確認します。
屋内消火栓設備、屋外消火栓設備、避難器具、非常警報器具など。
賃貸物件の消防設備点検は大家さんの義務!入居者の協力も必須の理由
消防設備の設置義務がある賃貸物件では、貸主である大家さんに、
消防設備点検と所轄の消防署への報告が義務付けられています。
室内には自動火災報知設備、ベランダには避難設備などが設置されているため、
点検する際には各住戸に作業員が立ち入る必要があります。
入居者に対し、ベランダの避難設備の妨げとなるようなモノを置かないよう指導し、
点検の必要性を周知させ点検拒否などが起こらないようにしましょう。
消防点検の結果、避難設備の故障や設置数の不足があった場合、
避難設備の不備とみなされるため注意が必要です。
仮に避難設備の不備があり、万一火災が起こった際に
入居者が逃げ遅れた場合には、大家さんの責任となります。
また、消防点検を怠ったり、不備を放置したりといったことがあれば、
大家さんが「防火管理上の義務違反」として刑事責任に問われる可能性があります。
人命にかかわることなので、積極的に取り組みましょう。