賃貸借契約における重要事項説明とは？確認するポイントについて解説

賃貸物件を借りる際には、貸主と借主のあいだで「賃貸借契約」を結びますが、その前に「重要事項説明」がおこなわれます。
契約のルールは賃貸借契約書に記載されていますが、借主が安心して生活するための設備やライフラインの状況を知るには、重要事項説明が大切なポイントです。
そこで今回は、賃貸借契約における重要事項説明とはなにか、確認するポイントについて解説します。
最近増えている「IT重説」もご紹介しますので、賃貸物件への入居をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

賃貸借契約における重要事項説明とは？

まずは、「重要事項説明とはなにか」といった基礎知識から確認しておきましょう。

重要事項説明とは

重要事項説明とは、賃貸借契約を結ぶうえでの重要な事項を説明することです。
賃貸借契約書には、借主と貸主とのあいだで取り決めた条件やルールが記載されており、契約後のトラブルを防ぐために重要な書類です。
重要事項説明の際に受け取る重要事項説明書には、賃貸物件の内容やインフラの供給状況などが記載されており、物件の住み心地を知ることができます。
つまり、賃貸物件を借りるにあたっての判断材料となる重要な書類なのです。

重要事項説明のタイミング

不動産の取引は、宅地建物取引業法（宅建業法）で具体的なルールが定められており、不動産会社は、そのルールに沿って業務をおこなわなければなりません。
宅地建物取引業法では、「契約前」に買主に対して重要事項説明をおこなうことを不動産会社に義務付けています。
なお、重要事項説明をおこなえるのは、宅地建物取引士のみです。
重要事項説明では、宅地建物取引士が、賃貸借契約における重要事項が書かれた書面（重要事項説明書）に記名押印し、それを借主に渡します。
そして、その内容を口頭で説明しなければなりません。
また、宅地建物取引士の資格を有していることを証明する「宅地建物取引士証」の提示も義務付けられています。
賃貸借契約を結ぶ前に重要事項説明がない場合や、宅地建物取引士でない者が重要事項説明をおこなうことは法律違反です。
したがって、賃貸物件を検討する際には、事前に重要事項説明を受けてから賃貸借契約を結ぶという流れを覚えておいてください。

賃貸借契約における重要事項説明で確認するポイント

重要事項説明は、賃貸物件を借りるうえで大切なプロセスであることを前章で解説しましたが、具体的にはどのような内容なのでしょうか。
重要事項説明では、物件の基本情報や安全性に関すること、契約に関すること、禁止・注意事項など、さまざまな項目にわかれて説明を受けます。
どれも大切な内容ですが、項目が多いため、その場ですべて理解することは難しいかもしれません。
とくに確認すべきポイントを事前に知ったうえで重要事項説明を受けることで、疑問点などをその場で質問して解決できるため安心です。
そこで次に、重要事項説明を受ける際に確認したほうが良いポイントについて解説します。

ポイント1：支払うお金の内訳

賃貸物件を借りる場合、毎月支払う家賃や管理費のほかに、契約時の敷金・礼金といった初期費用、更新料、鍵の交換費用など、さまざまな費用が発生します。
「思っていたよりお金がかかった」といったことにならないために、それぞれの金額や、支払い時期などを事前に確認しておきましょう。

ポイント2：ライフラインの状況

賃貸物件を借りる際には、電気やガス、水道などのライフラインの状況を確認しておくことも大切です。
最近は、電気会社やガス会社など、借主が選んで直接契約するケースがほとんどですが、物件によって異なります。
とくに、ガスは「都市ガス」なのか「プロパンガス」なのかで、毎月のガス料金が変わってくるため注意しましょう。

ポイント3：契約の更新について

更新の際には、貸主に更新料を支払うのが一般的ですが、物件によっては更新料がいらないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
また、貸主だけでなく不動産会社に支払う更新事務手数料が発生するのかについても、確認しておく必要があります。

ポイント4：解約について

賃貸借契約の解約に関することも、重要事項説明を受ける際にチェックしておくことをおすすめします。
解約予告期間は、1か月、3か月など、物件によって異なります。
申告期限を過ぎてから解約すると、ペナルティとして違約金の支払いが発生する場合があるため、注意が必要です。

ポイント5：禁止・注意事項

賃貸物件は、基本的にペット飼育や楽器の演奏、石油ストーブの利用を禁止している物件がほとんどです。
しかしなかには、ペットの種類によって許可するケースや、時間帯を決めて楽器を演奏しても良い物件などもあります。
賃貸物件で決めているルールに違反すると、大きなトラブルになる恐れがあります。
したがって、重要事項説明時にしっかり確認しておくようにしましょう。

ポイント6：設備の修理について

賃貸物件に備え付けられている給湯器やエアコンなどが、壊れることもあり得ます。
この場合の修理費用について、借主と貸主でトラブルになるケースは珍しくありません。
したがって、設備が壊れた際にはどちらが修理費用を負担するのか、重要事項説明の際に確認しておくと安心です。

賃貸借契約における重要事項説明の方法1つであるIT重説とは

最近は、不動産会社に行かずに重要事項説明を受けられる「IT重説」が注目されています。
そこで最後に、IT重説とはなにか、メリットや注意点について解説します。

IT重説とは

ITとは、「Information Technology（インフォメーション・テクノロジー）」の略で、インターネットなどを使った技術のことです。
IT重説とは、文字どおり、このIT技術を使って重要事項説明をおこなうことです。
最近は、ビデオ通話などを活用してオンラインでおこなわれるケースが増えています。

IT重説のメリット

IT重説は、不動産会社に出向かなくても、重要事項説明を受けられる点が大きなメリットです。
たとえば、遠方に転勤が決まったけれど、現地におこなって物件を探したり重要事項説明を受けたりする時間がなかなか取れない方にとっては、便利な方法です。
また、大学進学を機に賃貸物件を探す際に活用する方も多く見られます。
そのような場合に、IT重説を受けられる物件はおすすめです。
さらに、やりとりをデータとして残せる場合もあり、あとで確認したり、トラブルになった場合の証拠として活用したりできる点もメリットの1つです。

IT重説の注意点

IT重説は、不動産会社に出向いて重要事項説明を受ける時間や手間を省ける便利なシステムです。
しかし、IT重説を受けるためには、カメラやマイクといった機能を搭載したIT機器が必要です。
最近は、パソコンやスマートフォンが普及しているとはいえ、カメラで対面しながら会話するアプリケーションがなければ、利用できません。
また、通信環境が不安定な場合、会話が途切れて説明が進まない、質問しにくいなど、不具合が起きる可能性があります。
IT重説を利用する際には、まず接続テストをおこなって、問題がないかどうか確認することが大切です。

まとめ

賃貸物件を借りる際には、賃貸借契約を結ぶ前に、宅地建物取引士による重要事項説明がおこなわれます。
重要事項説明では、支払うお金の内訳や更新に関すること、ライフラインの状況、解約予告期間、禁止事項などをとくに確認してください。
また、遠方から賃貸物件を探す際には、インターネットを利用したIT重説を受けられる物件もあるため、IT機器に問題がなければ検討してみると良いでしょう。